偽装自営業とは、契約上は自営業者として働いていても、実際の状況が雇用関係に相当する場合をいう。契約書上の名称ではなく、実際の運用が決め手となる――そして争いになった場合、その運用は第三者によって外部から判断される。
判断の基準となる事項
複数の特徴を総合的に見て判断される。従属的な雇用を示す主な特徴は、次の4つだ。
- 指揮命令への拘束:発注者が成果だけでなく、実施する時間、場所、方法も決める。
- 組織への組み込み:固定された時間、勤務表、出勤義務などによって、スタッフのように業務の流れへ組み込まれて働く。
- 発注者が1社だけ:売上が継続的に1つの取引先だけから生じている。
- 自ら事業リスクを負っていない:自前の事業所、自分の業務用機材、自分での料金設定がなく、市場で自分の名前を使って活動していない。
通常の撮影現場での協働との区別が重要だ。演出担当者が立ち位置や撮影時間を指示することは専門的な指示であり、それだけで業務委託が雇用関係になるわけではない。問題になるのは、撮影1回を超えて組織に組み込まれる場合だ。
なぜこの業界で起こるのか
典型的なのは2つのケースだ。1つ目は専属契約だ。1つの制作のためだけに働く義務を負うと、発注者が1社に限られ、市場で活動する可能性を失う。2つ目は継続的な予約で、例えば長期間にわたって毎月決まった撮影日が設定され、出勤指定や待機義務が伴うケースだ。
さらに、ウェブカメラやスタジオの形態では、誰の事業用設備を利用しているかという問題もある。他人の場所で、他人の機材を使い、指定された時間に働き、料金も自分で決めていない場合、複数の特徴を同時に満たすことになる。
どのリスクを誰が負うのか
より大きなリスクを負うのは発注者だ。雇用関係が存在したと判明した場合、過去の社会保険料の追加納付を求められる可能性があり、場合によっては労働者負担分も含まれる。これに加えて、給与税に関する影響も生じる。
あなたにとっての影響は一長一短だ。一方では、解雇保護や社会保険が適用される労働者として分類される可能性がある。他方では、請求書の消費税上の扱いが崩れ、記載した消費税や計上した経費が取り消され、返還を求められる可能性もある。どちらの方向にも安心して頼ることはできない。
自分でできること
最初から複数の発注者のために働き、そのことを記録しておこう。提示された料金を受け入れるのではなく、自分で料金を交渉し、自分の名前または芸名で市場に出て、可能な限り自分の業務用機材を使おう。出勤、待機、専属性を定める条項が契約にないか確認する――モデル契約書を条項ごとに解説では、何に注意すべきかを説明している。
疑いがある場合には、正式な手段がある。年金保険機関での身分確認手続きにより、身分を拘束力をもって確定できる。待つよりも気が重い手続きだが、何年も経ってから調査を受けるより安く済む。
この記事は基準を整理したものであり、法務または税務に関する助言の代わりにはならない。